全日本トライアル広島大会の興奮が冷めないうちに、YAMAHA TY-E の正体を自分なりに考えてみたいと思います。とはいえワタシはトライアル素人ですし、ましてやマシンの開発者でもないので、超身勝手な推論です。 (*´人`*)
まずエンジン車の代表 RTL の第一セクション入りから。
世界選手権のチャンピオンマシンでもあり、4stのトラクションがきっちり生かせる造りがされていそう。一方で他のマシンたちと比べると、ちょっと重そうに見えました。
そしてTY-E 3.0。
何なのでしょうか、BEVは重いという常識を覆すような軽快さ。黒山選手のスムーズなライディングが占めるところも大きいのでしょうが、2.2→3.0 で軽量化をしてきたのは確かのようです。そしてアクションに入る前に回転を上げる時間がすごく短い。モーターの出力特性などかなり熟成されてきた様子です。結果として電費の良さにもつながったのでは?
モーター動力で気になる点として、トルクが大きいうえに回転が滑らかすぎて、タイヤが路面をとらえにくいのでは?と思っていたのです。
ははは...何も問題なく登っていますね。スロットルコントロールがきちんとできれば、ダイレクトに回転につながる電動のメリットが生まれて、平気で登るってことですか。
こういう土登りは4st RTL もいい感じで上がっていました。やはり2st勢の方が厳しそう。
次は同じ TY-E の2.2と3.0の違いについて。
まずは本大会で優勝された野崎選手の TY-E 2.2。
駆動系やモーターの音が明らかに大きい。キュインキュイン音がする電動車そのものです。そしてアクション前の回転を上げている時間が長め。
それに比べて黒山選手の TY-E 3.0。
このセクションは障害がかなり高いため、スロットルは長めに開けていたとは思いますけど、明らかに2.2よりは開け時間が短いです。
2.2から3.0になって、フラリホイールマスは下がった。その分モータートルクが上がり、レスポンスも良くなった? あとは2速化の影響が出てる?
そして最後は TY-E 3.0 の車体について。
こちらの動画でわかるように、2本のバッテリーはフレームの内側、エンジン車のタンクからヘッド部分に収納されます。そしてこの固定はフレームに剛結ではなく、入れただけ。もちろん中で暴れない様に、左右ガタはそれなりに小さく、後ろ側に固定BRKTがついていますが、これはあくまでもバッテリーの動きを抑えるもの。
これからわかるようにバッテリーケースを車体剛性部材として使っていません。それなのに軽量な車体が出来ているというところが驚きです。
左側のミッションケース。ここに短いリンクロッドがあるのですが、シフトペダルは無いので電動ミッション?
こちらの右側は油圧クラッチ。電動とはいえトライアル競技にはクラッチは必須でしょう。
そしてモーターケースとフレームに同軸で貫通するようにスイングアームピポットが設けられている感じです。
このモーターケースですが、オイルフィラーキャップは普通のエンジンと同じような位置にあります。それなりのオイル量はありそう。一方で冷却水のラインも、オイルクーラーらしきものもない。ラジエター位置は単なるカーボンの板っぽい。ということはこの真夏の暑いセクションを空冷だけで行けるということ?そうだとしたら全体のエネルギーマネージメントもかなりレベルアップしていると思われますね。
なかなか面白い、TY-E。YAMAHAの電動車チャレンジは予定では今年で終わり?だった気がしますが、これからも育成してほしいですね。